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Colum…2014/2/8:FIA Formula one 2014 Preview
世界最速のドライバーとマシンを決めるレース、F1。1950年にイギリスのシルバーストンサーキット(今年は7月5日・予選、6日・決勝の予定)で第一回大会がスタートして64年目となる。2014年シリーズの開幕戦は昨年に引き続きオーストラリアGP(3月15日・予選、16日決勝)から始まり全19戦を予定している。今年のF1を見る上でのポイントをおさらいして行きつつ、今年のチャンピオン予想をしたいと思う。
ダウンサイジングターボ+エネルギー回生キーポイントのひとつはエンジンの全面変更である。昨年までの2.4リッターV型8気筒NAエンジンから、今年は1.6リッターV型6気筒直噴ターボエンジンが搭載される。新型エンジンに加え、ERS(Energy-Recovery System、昨年までのKERSから代わり、運動エネルギーと熱エネルギー回生を行なうためKが取れた)が搭載され、合計出力は760馬力前後となり、昨年と同等の出力を確保している。今年もレース中の給油が禁止される上に搭載燃料が100kgまでと制限されている(昨年までは1レース150kg~160kgの燃料が使われていた)ため、燃費を向上させない限りレースペースでの完走が実質不可能となった。
エンジン単体の性能も重要だが、今年からは付加されるERSの性能も試されることになり、エンジンサプライヤー(フェラーリ、メルセデス、ルノー)同士の戦いもより白熱すると考えられる。すでにルノーエンジンを搭載するチームに不具合が見つかっており、開幕前から昨年までの均衡が揺らいでいる。
今年のピレリタイヤ昨年は完膚なきまでに叩きのめされた(主にバッシング的意味で)ピレリタイヤは今年も継続してF1のコントロールタイヤとして採用されることになった。レースを盛り上げるため、運営に言われたとおりのタイヤを作った結果、大バースト祭りとなり速さを競うレースからタイヤをいかに長持ちさせるかを競うレースとなっていた。今年はタイヤ構造の全面見直しと強度の向上により安全性が増しているが、テストに参加したドライバーから「(昨年に比べて)少しは良くなっているけど、相変わらずオーバーヒートしやすい」というちょっと辛口なコメントが出ていた。(ピレリ側はチーム自体のテスト不足を指摘している)
ドライバーディフェンディングチャンピオン、レッドブルレーシングはドライバーズチャンピオンのセバスチャン・ベッテルのチームメイトに昨年まで姉妹チーム、トロロッソで走っておりレッドブルの育成プログラムの一員だったダニエル・リカルドを起用。フェラーリもフェルナンド・アロンソのチームメイトに2007年に同チームで総合優勝を果たしたキミ・ライコネン(昨年までロータスに在籍)を起用し、チャンピオンコンビで2014年シーズンを戦うことになる。
そして、何よりも日本のファンを喜ばせたのが2012年、日本グランプリで史上3人目の日本人表彰台獲得ドライバーとなった小林可夢偉の復帰である。昨年はWEC(世界耐久選手権)にフェラーリのセミワークスチームAFコルセのドライバーとしてハコのレースに参戦しながら、F1復帰の道を模索していた。過去にF1レギュラーシートを失い、完全にカムバックできたドライバーはいなかった。残念ながらフェラーリではなくケータハムからの復帰となったが、前述のレギュレーション変更により、開幕戦は横ばいの状態となっているのでチャンスは多いにある。
今年の総合優勝は……?今年のドライバーズチャンピオン候補は昨年のディフェンディングチャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル/ロータス)、05・06シリーズチャンピオンのフェルナンド・アロンソ(フェラーリ)、07シリーズチャンピオンのキミ・ライコネン(フェラーリ)、08シリーズチャンピオンのルイス・ハミルトン(メルセデス)のもはやお馴染みとなった5人が挙げられる。ロータスエンジンを搭載するレッドブルは満足な走行ができず、ヘレステストを早々と切り上げてしまったこと、開幕戦までの時間を考えると序盤は精彩を欠くレースになるかも(ただ、ポイントはコンスタントに獲得しそう)。去年のように(13シーズンはタイヤと車両特性による優劣の差が序盤は大きかった)前半は低調な滑り出しをしつつ、後半で一気に巻き返して防衛する可能性もある。
逆に昨年序盤は調子が良くて、後半に向かうに連れて徐々に低調していったのがメルセデスだ。昨年のリベンジに燃えてるのは言うまでもなく、レッドブルの牙城を崩せるチームのひとつだ。フェラーリは昨年、優勝しつつコンスタントにポイントも取りつつ終始安定しており、チャンピオン争いを最終戦ブラジルGPまでもつれ込ませていた。こちらもメルセデス同様リベンジに燃えているし、何よりもチャンピオン経験者で揃えてくるあたりに自信の表れも感じる。
今年でメルセデスとの契約が切れるマクラーレンは2015年から復活するマクラーレンホンダの組み合わせに期待する意味も込めて、今年の候補からあえて除外している。その他のチームに関しては冒頭で述べたように序盤戦にどれだけ中~上位チームを食えるかで、存在感を十分にアピールできるが、資金力に物を言わせて上位常連チームが復調してくる従来の流れが予想されるのでチャンピオン候補というよりは、グランプリを盛り上げるスパイスになってくれると思う。
ずばり、今年のチャンピオン予想はメルセデスのルイス・ハミルトンだ。まだヘレステストの段階だが、エンジン・シャシーともに良好でテストでは最多周回数である309周を走り、データ取りに抜かりはないと思われるし、何よりもドライバーにかかる心理的負担もある程度、払拭される。これだけ好調だと後々のトラブルが怖いが、すでにライバルに対して大きく差をつけていると言えるし、この流れのままなら開幕戦から夏休みまでにはポイントを大量に稼ぎ、後半の追い上げが予想されるレッドブルとフェラーリに対して防衛線も張ることができる。ゴールに向かっている19個のマスを持つ2014年F1すごろくを進めていく上で有利な条件を持っていることから、今年はメルセデスの年になるのではないだろうか?
2014年 F1カレンダー※カッコ内は、開催都市/サーキットBack to TOP
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